「有効打突部位の割合」を中学から全日本剣道選手権まで調査、比較してみる

データから見る剣道

中学生の剣道、高校生の剣道…学年が上がり歳を重ねるにつれて、勝つために求められる剣道は変化していきます。中学生で結果を残した剣士が、高校でも絶対に活躍できるかと問われても全くわかりません。さらに、全日本剣道選手権大会において連覇を成し遂げた人が非常に少ないように、一瞬で勝負が決まる剣道は勝ち続けることが非常に困難です。

そこで、中学生から大人に至るまで、その年代において最高峰の試合での有効打突(面、小手、胴、突き)の割合を調べてみることにしました。

年代別の有効打突

このページはパソコンに最適化されたグラフを含んでいるため、肝心のグラフがスマートフォンでは表示されない可能性があります。 見られない場合は、パソコンでお試しください!

それではさっそく、社会人(全日本学生剣道選手権大会)/大学生/高校生/中学校と年代別の個人戦の結果を見ていく。

中学生 中体連剣道大会

まずは中学生から。下図は2012年から2019年に開催された全国中学校剣道大会、いわゆる中体連の個人戦ベスト16以上の試合における総計152本を分類したものである。中学生のトップ剣士の一本だ。なぜベスト16なのかというと、それしかデータが見つからなかったからだ…中学生の試合であるため、突きは入っていない。

最初の打突部位別のグラフだが、皆さんの予想との違いはいかがだっただろうか。面は65.8%を占めている。

高校生 インターハイ剣道

続いては高校生である。こちらも中学生と同様に、インターハイにおける個人戦のベスト16以上の試合を取り上げた。2013年から2019年までに開催された7回の全国総体、総計145本を分類している。

中学生のグラフと見比べると高校から許可される突きが入ってくるのが分かるが、145本中4本と、2.8%に留まった。しかし突きは、ここぞというときの強力な一本になる印象がある。

の割合は

  • 中学生 65.8%
  • 高校生 66.9%

と、ほぼ変化しなかった。小手は中学生に比べ5.6%減少したが、中学生の場合は年度によって差があったので、有意な変化とは考えられなかった。

大学生 全日本学生剣道選手権大会

続いて大学生。全日本学生剣道選手権大会の個人戦ベスト16以上について分類した。2011年から2019年までに開催された9大会分、総計194本である。

やはりの割合は大きく変化していない。高校生では、中学生と比較して5%ほど小手が少なくなったかのように見えたが、大学生では再び25.8%まで復活している。大学生と中学生の有効打突の割合はほぼ等しいという、どういうリアクションを取ればいいのか分からない結果となった。

全日本剣道選手権大会

最後に、本丸の全日本学生剣道選手権大会である。2011年から2018年までに開催された計8回の全日本剣道選手権大会における、全試合総計640本を有効打突部位別に分類した。

言わずもがな、全日本剣道選手権大会は間違いなく最高位に位置する大会である。出場資格は20才以上、都道府県予選を勝ち抜くことができれば出場することができる。そういう意味では公平だが、都道府県予選を勝ち抜くだけでも相当な実力を必要とする。そして結果は…

面が一割減少し、小手が一割増加するという大きな変化が見られた。胴や突きの割合を見ると、面の減少分がそのまま小手に移ったような感じである。10%にピンときていない人がいるかも知れないが…消費税は今まさに10%ですよ。

中学生から大学生まではの割合がおおむね65%だったのに対して、全日本学生剣道選手権大会では54.1%と、なんと10%も減少している。これが周知の事実だったのかどうか私にはわからないが、興味深い結果となった。

Sponsored Link

面の減少と小手の増加

さて、ここまで各年代別の有効打突部位の割合を見てきた。中学生からたどっていくと、全日本剣道選手権大会で面と小手の割合に大きな変化があることがわかった。

小手が強いといえば…

全日本剣道選手権大会において2連覇を含む3度の優勝を成し遂げている、西村英久選手が思い浮かんだ。西村選手自らがインタビューで、小手が得意技だと発言している。分かっていても防ぐことのできない小手は、他の選手達にしてみればこれ以上ない恐怖だろう。もはや手元を上げることさえできない。

その西村選手は、熊本の九州学院高校出身である。西村選手の活躍も大いに影響していると思うが、「九州学院は小手がうまい」とYouTubeのコメント欄でもよく見かける。そして、その九州学院は現在、中学/高校剣道を席巻。OBは大学剣道でも大活躍し、内村良一選手や西村英久選手については言うまでもない。先日開催された2019年の関東学生剣道優勝大会においても、決勝を戦った筑波大学と中央大学の14人の選手のうち、なんと半数の7人が九州学院高校OBであった。

小手がうまいのもあるが、剣道がうまく、かつ強い

この流れだと、小手は神様のような流れになってしまいそうである。しかし、私の考えは違う。小手がうまいのもそうだが、それは剣道の一つのうまさではないか。相手の隙から、いかに一本を取るかというのが剣道だと思っている。そのための多彩な技として小手は非常に大きな意味を持つのだ。相手が見せたどんな隙に対しても対応できる、技術の高さを象徴するものだろう。それが全日本剣道選手権大会という最高峰の試合での結果に現れたのではないだろうか。

おわり

ここまで読んでくださってありがとうございました!時間かけて調査したので、Twitter等で剣道仲間に広げてもらったら(筆者が)もれなく泣いて喜びます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました