世の中にはありとあらゆる資格がありますが、日本で最難関の資格とされているのが「剣道の八段」です。剣道の段位を資格と呼ぶのは不適当かとも思いますが、その合格率を初めて知る人は驚くことでしょう。
多くのウェブサイトやテレビ番組等では、約1%と報道されていることが多いですが…
正確には、剣道の八段審査の合格率は1%を下回っています。後述しますが、1%には遠く及びません。
今回は全日本剣道連盟が公開している八段合格者の情報をもとに、いくつかの指標から剣道八段を探っていきます。
八段合格者を分析する
2012年から2019年の京都審査会までの合格者のデータを分析してみました(参考文献:全日本剣道連盟)。
剣道八段の合格率
最初に剣道八段の合格率から見ていきます。
年 | 受審者数 | 合格者数 | 合格率 [%] |
---|---|---|---|
2012 | 3515 | 22 | 0.63 |
2013 | 4675 | 42 | 0.90 |
2014 | 3413 | 22 | 0.64 |
2015 | 3852 | 24 | 0.62 |
2016 | 3595 | 30 | 0.83 |
2017 | 3747 | 25 | 0.67 |
2018 | 3771 | 24 | 0.64 |
2019 | 1815 | 12 | 0.66 |
計 | 28383 | 201 | 0.71 [%] |
上の表を見ていきましょう。もし合格率を1%とするならば合格者は計284人となるので、実際の合格者数201人と比較すると、あと83人必要となります。この83という数字を近年の傾向から考えると、3~4年分の合格者数であり、大きな誤差があることがわかります。
そのあまりに小さい数字のため百分率にすると感覚が狂ってしまいますが、合格率を約1%としてしまうのは安易な繰り上げだと思います。
年齢別の八段合格者人数
はじめに、剣道八段の受審資格は
七段受有後10年以上修業し、かつ、年齢46歳以上の者
称号・段級位審査規則 第3章 第17条
と定められており、合格者は最年少であっても46歳となります。下の図は、2012年から2019年の京都審査会までの合格者を合格時の年齢別に示したものです。なお、このグラフには再受審者2名も含まれています。
最年少は46歳、最高齢は75歳、剣道八段合格者の平均年齢は53.7歳となりました。最年少の46歳で合格した人は21人であり、合格者全体の約10%です。
都道府県別の八段合格者人数
次に、都道府県別の合格者人数を日本地図上に表してみました。
それぞれの都道府県庁所在地に棒が立っており、それが高いほど合格者が多いことを示します。
まずは沖縄から日本全体を
東京、神奈川、大阪の合格者数が非常に多いことが見て取れます。おおむね人口の多さと関係があるようです。
九州・四国・中国地方
剣道王国九州ですが、福岡と熊本の合格者が多いようです。
関西から関東にかけて
大阪や兵庫、愛知の合格者が多いようです。
関東から北海道にかけて
東京、神奈川、埼玉など首都圏エリアの合格者が多いです。
人口が多い→剣道人口も→合格者も自ずと増える?
- 東京 26名
- 神奈川 20名
- 大阪 19名
- 埼玉 10名
- 福岡, 兵庫, 愛知 9名
東京、神奈川、大阪などの人口が多い都道府県ほど合格者が多く、理にかなった結果となっています。 一方で、あくまで2012年以降は合格者が出ていない都道府県もありますが、これは剣道八段の合格率の低さとも相まって、人口の少なさと相関があるようです。
剣道八段は全国に何人おられるか
全日本剣道連盟の全日本選抜剣道八段優勝大会のページに、以下の文がありました。
全国700余名の八段受有者の中から、受有後5年を経た65才以下に該当する200余名が抽出され、さらに選考委員会において厳選された心技ともに円熟した32名によって行われるトーナメント方式の大会です。
全日本選抜剣道八段優勝大会とは
したがって2020年現在、日本には「700余名の八段受有者」がいらっしゃるようです。
おわり
ここまで読んでいただきありがとうございました。剣道関連の記事をほかにも書いております。最近では、全日本剣道選手権における技(面、小手、胴、突き)の割合を調べてみたりしています。よろしければご覧ください。
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